法衣(大衣、袈裟)の色でお坊さんの階級が分かる
お葬式で「紫のお坊さんが多いと格式が高い」と聞いたことがある方は多いと思います.でも実は,一番偉いお坊さんの法衣は紫ではなく「緋色(ひいろ)」なんです.緋色はやや黄色みを含んだ鮮やかで濃い赤色です.朱肉の色といえばいいでしょうか.なぜ紫が目立つのに,緋色が最高位なのか?その理由と,色ごとの階級を一覧で紹介します.
法衣(袈裟、大衣)の色でお坊さんの階級が分かる
それぞれの宗派で多少の色は違うにしても、法衣(袈裟、大衣)の色でお坊さんの位が分かります.
それは、なんとなく知っていたのですが、気になったので詳しく調べてみました.
階級を表す衣は、法衣(ほうい)、袈裟(けさ)、大衣(だいえ)など、いろんな言い方があります.
真言宗の階級と法衣色(真言宗)
法衣色を表にまとめてみました.いろんな仏教、宗派がありますが、おおよそ似たような階級になるようです.(法衣色=袈裟色)
| 階級 | 階級 | 読み | 法衣色 | 色 | 読み |
| 1級 | 大僧正 | (だいそうじょう) | 緋色 | 緋色 | ひいろ |
| 2級 | 権大僧正 | (ごんのだいそうじょう) | 紫色 | 紫色 | むらさき |
| 3級 | 中僧正 | (ちゅうそうじょう) | 紫色 | 紫色 | むらさき |
| 4級 | 権中僧正 | (ごんのちゅうそうじょう) | 紫色 | 紫色 | むらさき |
| 5級 | 少僧正 | (しょうそうじょう) | 紫色 | 紫色 | むらさき |
| 6級 | 権少僧正 | (ごんのそうじょう) | 紫色 | 紫色 | むらさき |
| 7級 | 大僧都 | (だいそうず) | 緑色 | 緑色 | みどり |
| 8級 | 権大僧都 | (ごんのだいそうず) | 緑色 | 緑色 | みどり |
| 9級 | 中僧都 | (ちゅうそうず) | 緑色 | 緑色 | みどり |
| 10級 | 権中僧都 | (ごんのちゅうそうず) | 緑色 | 緑色 | みどり |
| 11級 | 少僧都 | (しょうそうず) | 緑色 | 緑色 | みどり |
| 12級 | 権少僧都 | (ごんのしょうそうず) | 緑色 | 緑色 | みどり |
| 13級 | 大律師 | (だいりっし) | 水色 | 水色 | みずいろ |
| 14級 | 律師 | (りっし) | 水色 | 水色 | みずいろ |
| 15級 | 権律師 | (ごんのりっし) | 水色 | 水色 | みずいろ |
| 16級 | 教師試補 | (きょうししほ) | 茶色 | 茶色 | ちゃいろ |
| 階級に関係なく | 茶色 | 茶色 | ちゃいろ | ||
| 修行中 | 黒色 | 黒色 | くろ |
おじいちゃんのお葬式には紫の法衣(袈裟)を着たお坊さんがいたのを覚えています.でも、おばあちゃんのお葬式の家族葬は檀家のお寺のお坊さんがいたのだけという記憶があります.(紫だったかは覚えていません)誰に聞いたか記憶はありませんが(昭和に少年時代の記憶)、紫の法衣を着たお坊さんがたくさんいるお葬式は立派な人の葬儀だよ・・・
お葬式で「紫のお坊さんが多いと格式が高い」と聞いたことがある方は多いと思います.でも実は,一番偉いお坊さんの法衣は紫ではなく「緋色(ひいろ)」なんです.なぜ紫が目立つのに,緋色が最高位なのか?その理由と,色ごとの階級を一覧で紹介します.
いずれにしても、一般庶民的に、緋色(ひいろ■)のお坊さんがお参りするお法衣(ほうい)、袈裟(けさ)、大衣(だいえ)葬式に参列したことがないような気がします.
他宗派との比較表
緋色→紫まではどの宗派も同じですが、それ以降の色が違ってきます.
| 宗派 | 最高位の色 | 中位の色 | 一般・修行中 |
|---|---|---|---|
| 真言宗 | 緋色 | 紫→緑→水色 | 茶・黒 |
| 浄土宗 | 緋色 | 紫→萌黄 | 黒 |
| 天台宗 | 緋色 | 紫→萌黄 | 黒 |
| 浄土真宗 | 緋色 | 紫→色衣 | 黒 |
紫が一番エライじゃないの?
緋色(ひいろ■)が一番エライお坊さん?私が関係するお葬式にはいなかったような気がします.子供のころ、バブルな時代は『紫のお坊さん』が何人いるかが豪華さの象徴だったような記憶があります.
なんか少し分かったような・・・プチ成功者のお葬式は『紫のお坊さんの数』で競い合っていましたが、間違っていたのでしょうね.
そうじょう(紫の衣)
令和の現代では『宗派』から『僧階』を与えられているのが階級となります.しかし、古く江戸時代などは幕府からではないと『僧正(そうじょう)』という階級は与えられなかったようです.
それくらい『僧正(そうじょう)』になろうとすると、厳しい修行だけではなく、幕府や天皇陛下に莫大な寄付をする必要があったようです.
「江戸時代エピソード」紫衣事件(しえじけん)
そもそも、なぜ「紫」が高貴な色なのか?
紫が高貴とされる起源は、飛鳥時代の603年に制定された聖徳太子の冠位十二階で、濃い紫が最も高貴な色とされたことにあります.合成染料がなかった時代、衣を紫に染めるには紫草(むらさき)の根が大量に必要で、大変なコストがかかったため、希少性から高貴な色になりました.
江戸時代の大事件「紫衣事件(しえじけん)」
教科書にも載る事件なので、記憶にある方もいるかもしれません.
江戸時代、この紫の衣をめぐって大事件が起きます.「紫衣事件(しえじけん)」です.もともと紫の衣は、天皇が「あなたは立派なお坊さんだ」と認めた証として与えるものでした.ところが、これに幕府が「待った」をかけます.天皇が許可した紫衣を、幕府が「無効!」と取り消してしまったんです.抗議したお坊さん(沢庵和尚)は流罪になりました.※沢庵和尚は「たくあん漬け」の名前の由来とも言われる人物です.
つまり「紫の衣は天皇でも自由に与えられない、それくらい重みのあるもの」だったわけです.
では、なぜ「緋色」が紫より上なの?
現在の各宗派では緋色(ひいろ:黄色がかった濃い赤色)や紫色を上位の色と定めており、真言宗では緋色→紫色→萌黄色→黄色→浅黄色の順になっています.僧階の高い順に、緋(濃く明るい赤)、紫、萌黄(緑)、黄色、浅黄(水色)で、自分の僧階より上の色を着ることはできないことになっています.
緋色が紫の上に置かれた理由は、紫が一般にも知られ普及していく中で、より希少で格上の色として緋色(朱)が最高位に据えられたためです.
子供のころ「紫のお坊さんが多いお葬式は立派」と思っていましたが、本当のVIPは緋色だった….一つ賢くなったお遍路の旅でした.

