四国八十八ヶ所にある山門の種類

四国八十八ケ所お遍路さん、札所のお参りの入り口にある山門.仁王門(におうもん)といったり、楼門(ろうもん)などと呼んだり、いろんな呼び方があります・・・山門の種類についてまとめました.

そもそも山門の役割は?

お寺さんの入り口にある山門.ほとんどのお寺さんにあるけど何の意味があるの?

お寺の山門は、単なる入り口ではなく、さまざまな意味をもつと言われています.

・邪気を払う結界
・仏と俗世を隔てる境目
・仏の教えを受け入れるための入口

などの意味があるのじゃ

寺院は山に建てられことが多かったので、寺院に『xx山』という山号がつけられ、寺院の門も『山門』呼ばれるようになったようです.
また、『山門』は『三門』とも書かれ、これは『三解脱門』の略で、悟りに至る為の三つの要素『空』・『無相』・『無願』の物事にとらわれないことを意味しています.まさに悟りを得るため、仏様に近づく門ということです.知恩院や禅宗は『三門』といいます.
単純に大きい門を『三門』、通常の門を『山門』という使え分けなどをすることもあります.

いずれにせよ、四国お遍路でお寺を訪れる際は、山門をくぐるときに 『俗世の煩悩を捨て、清らかな気持ちで参拝する』 ことを意識すると、より深く仏教の教えを感じられるかもしれませんね.

山門の種類

四国八十八ヶ所霊場の札所にある、代表的な山門の種類を紹介します!

仁王門(におうもん)

多くの札所で見られる代表的な山門で、左右に阿形と吽形の金剛力士像(仁王像)を安置しています.お寺や参拝者を邪悪なものから守る役割を持ちます.

金剛福寺(38番札所)

四国最南端の足摺岬を見下ろす丘の上に立つ寺院.
海風を浴びる仁王門.
金剛福寺38番

井戸寺(17番)

朱色にお化粧された、威風堂々とした山門
井戸寺(17番)いどじ

 雲辺寺(66番)

標高911mの山中にあり、質素ながら味わい深い四脚門が迎えてくれます.
雲辺寺(66番)うんべんじ_

2. 楼門(ろうもん)

二階建ての門で、上層には釈迦如来や十六羅漢像が安置されていることが多いです.
立派な造りで、多くの寺院で見られる山門です.

 霊山寺(1番札所)

お遍路の出発点にふさわしい立派な楼門.阿形(口を開けているほう)・吽形(口を閉じているほう)の仁王像が迎えてくれます.四国お遍路の旅はここからスタートします.
霊仙寺(1番)

金泉寺(3番)

金泉寺(3番)

熊谷寺(8番)

四国お遍路、最大級の山門
熊谷寺(8番)くまたにじ

3. 四脚門(しきゃくもん)

四本の柱で支えられたシンプルな門で、小規模な寺院などに見られます.

出釈迦寺(73番)

出釈迦寺(73番)

甲山寺(74番)

甲山寺(74番)

4. 八脚門(やつあしもん)

四脚門よりもさらに多く、八本の柱で支えられたより大規模な造りになっている門.

屋島寺(84番)

屋島寺(84番)やしまじ

5. 薬医門(やくいもん)

特徴的な屋根の形状を持ち、片側に控柱がある形式の門です.よく時代劇にでてくる位の高いお侍さんの屋敷にあるかたちですね.

吉祥寺(63番)

吉祥寺(63番)

延命寺(54番)

延命寺(54番)えんめいじ

鐘楼門(しょうろうもん)

門の上部に鐘が設置されており、鐘楼の役割を兼ねた門です.

善通寺(75番)

弘法大師空海の誕生地として知られる寺院で、立派な楼門が特徴です.
善通寺(75番)

津照寺(25番)

山門の上に鐘が設置されている珍しい鐘楼門のあるお寺です.
津照寺(25番)

津照寺(25番)

大日寺(13番)

大日寺(4番)

大日寺(4番)だいにちじ

二重門(にじゅうもん)

二階建ての立派な大型の門で、一階部分にも屋根のある門.
札所によっては、これらの門の様式が融合した独自の山門が見られることもあります。四国お遍路を巡る際には、各寺院の山門の違いを楽しむのも醍醐味の一つですね

唐門(からもん)

八坂寺(47番)

四国お遍路、唐門があるのは八坂寺だけです.天井の装飾も鮮やかです.
八坂寺(47番5)やさかじ

八坂寺(47番)やさかじ

棟門(むねもん)

日本の柱に支えられたシンプルな門.

前神寺(64番)

四国お遍路八十八ケ所は歴史のある格式が高いお寺さんが多いので、棟門(むねもん)のようなシンプルな山門を探すほうがたいへんです.
前神寺(64番)まえがみじ

長尾寺(87番)

現在は立派な山門があるのですが、旧山門はシンプルな棟門となっています
長尾寺(87番)ながおじ

白峯寺(81番)

白峯寺(81番)の棟門(むねもん)は日本の寺院で唯一『七棟門』と呼ばれています.
白峯寺(81番)しろみねじ

その他に山門の特徴

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おおきな草鞋(わらじ)健脚祈願(足腰の健康を願う)

健脚祈願(足腰の健康を願う)山門に大きな草履が掲げられているのは、参拝者の 足腰の健康 を祈願するためとされています.特にお遍路さんでは、長い道のりを歩く巡礼者の無事を願う意味もあります.
また、山門にある草履は、門を守る 仁王像(におうぞう)や金剛力士像が履くためのもの とも考えられています.強い足で邪悪なものを踏みつぶすし、参拝者もその力にあやかることで 健康や長寿をあやかれると言われています.

石手寺(51番)

石手寺(51番)いしでじ

 金剛力士像(仁王像)の意味

金剛力士像(におうぞう)または仁王像は、左右一対で安置されるのが一般的で、それぞれ以下の意味を持っています.南光坊(55番)

像の種類口の形意味役割
阿形(あぎょう)口を開けている「阿(あ)」は宇宙の始まりを表す悪を打ち砕く、仏の教えを広める
吽形(うんぎょう)口を閉じている「吽(うん)」は宇宙の終わりを表す忍耐と守護、静かに仏法を守る

阿吽(あうん)は『呼吸の始まりと終わりを意味し、 万物の生成と終焉、宇宙の真理を示している とされています.
南光坊(55番)

 なぜ山門に金剛力士像がいるのか?

山門に金剛力士像がいる理由は主に3つあるといわれています

1 魔除け・邪気払い

金剛力士像は、非常に力強い姿をしており、 邪悪なものが寺院に入るのを防ぐ守護神

・山門は 俗世(現実世界)と聖域(仏の世界)を分ける境界 といわれています.悪しき邪気や魔物が仏の世界(境内)に入らないように守っています.
・参拝者自身も、煩悩や邪念を持ったまま山門をくぐるのではなく、 心を整えて仏の世界へ向かうことを意識してお参りします.


2仏法を守り、広める役割

金剛力士像は、仏教の教えを守るとともに、正しい道へ導く役割を果たします.

・阿形(あぎょう)は 積極的に仏法を広めるエネルギー を象徴し、強さを表します.悪を打ち砕く、仏の教えを広めるパワーがあります.
・吽形(うんぎょう)は 仏法をじっと守り、揺るがない精神 を象徴し、忍耐と守護、静かに仏法を守るパワーがあります.


3金剛(こんごう)の力=不動の決意を示す

「金剛」とは、ダイヤモンドのように固く壊れないものを意味します.

・金剛力士は、仏教を守るために 強靭な肉体と精神を持っている存在 であり、修行者や参拝者に 「揺るぎない決意を持ちなさい」 という教えがあります.
・お遍路などの巡礼では 困難に負けない心 を持つことが大切であり、金剛力士像はその象徴となっています.